ナカモト氏がビットコインを開発してから9年が経ち、仮想通貨は大きな成長を遂げてきました。仮想通貨界で有名な人たちが一定数おり、その人たちの意見と事実を判別するのは困難です。
今回はRippleとその仮想通貨XRPが本当に分散化しているのかを検証していきます。
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そもそも分散型通貨とは?
分散型の通貨は、中央集権的な組織による管理や規制を受けない通貨です。ドルや円などの一般的な不換では、準備銀行や政府組織が通貨の発行や流通を監視しています。しかし分散型の通貨では、市場を管理する組織や個人はいません。暗号化技術とアルゴリズムによって秩序が維持されるのです。
これを念頭に、3つの観点から、Rippleを分散型の通貨と呼んでよいのか、検討してみましょう。
①RippleによるXRPの自社保有
ほとんどの仮想通貨では、マイナーがコインを発行し、プルーフ・オブ・ワークのコンセンサスアルゴリズムによりマイナーは報酬を受けとる仕組みになっています。
しかしRippleは、ビットコインが築き上げたこのモデルに異を唱えました。全1000億XRPは全て事前にマイニングされ、その大半にあたる600億XRPはRippleが保有しているのです。
その後会社は、そのうちの550億XRPを、暗号化された安全な預託に入れると発表しました。新たなプロジェクトに出資しようにも、出資上限は月10億ドルまでとなっています。そして、それに相応しい売り上げをあげたことがないのです。月間の最大売り上げ高は3億XRPにとどまっています。
最大の懸念は、Rippleが全ての通貨を解放し、XRP価格が大きく変動することです。しかしこれでRippleは損害を被るので、事態としては起こりにくいと考えられます。
②Rippleは銀行側の立場?
仮想通貨の世界では、銀行は敵です。そもそもビットコインが誕生した理由が、2008年の金融危機を引き起こした銀行への対抗だったからです。
Rippleは銀行と協力体制を築いており、その行為自体が集権的だとみなされています。しかし、Ripple自体は銀行には操作されていません。Rippleが行っているのは、銀行やその他金融機関向けのブロックチェーンベースの送金システムの開発です。
銀行と提携しているからといって、Rippleが集権化されている訳ではないのです。
③CEOは規制推進派?
RippleのCEOであるBrad Garlinghouse氏は仮想通貨世界では有名です。彼は規制の必要性について訴えてきましたが、その主張は少々誤解されています。
Garlinghouse氏は、詐欺通貨をなくし、消費者の権利を守り、市場の秩序のために規制の必要性を訴えてきました。仮想通貨は政府や財政機関の関与から逃れていますが、その結果詐欺行為がはびこっているのです。
彼の主張する規制は、仮想通貨の分散性を損なう類いのものではなく、業界としての倫理の向上を目指すものなのです。アメリカの証券取引委員会SECを嫌う人も多いですが、多額の詐欺被害から消費者を守ってきたのは事実です。Garlinghouse氏は、仮想通貨の集権化を目指しているのではないのです。
雑誌Fortuneとのインタビューで、Garlinghouse氏は次のように名言しています。
「RippleのIRP技術やXRP Ledgerはオープンソースになっています。仮に会社としてのRippleが消えたとしてもXRPは存続するでしょう。それこそが分散の意味するところなのではないでしょうか。」
Rippleはれっきとした分散型通貨です。多くの点で他の仮想通貨とは異なります。ビットコイン開発当初の精神を忠実に受け継いでいるのです。